2022年 iDeCoの改正と出口戦略
今回のコラムでは、確定拠出年金についてご紹介したいと思います。
確定拠出年金(以下DC)は、新たな公的年金の上乗せとして2001年10月に導入された制度です。
掛け金を加入者自身が選んだファンドで運用し、その運用結果で給付される年金額が決まります。
DCには企業型DCと個人型DCの2種類がありますが、2016年9月には個人型DCの愛称が「iDeCo(イデコ)」に決まり、広く知れ渡るようになりました。
既に加入している、という方も多いのではないでしょうか。
このiDeCoですが、今年はたくさんの改正があるんです。
ざっと概要を確認してみましょう。
個人型DC「iDeCo(イデコ)」の改正
<2022年4月>
★公的年金の改正に合わせて2022年4月1日以降は「75歳まで」に後ろ倒しできる!
※老齢給付金を受け取るまでの間は加入資格を喪失し、運用指図のみを行う形となります。
そのため事務委託先金融機関への手数料がかかるのでご注意ください。
<2022年5月>
★iDeCoに加入できる年齢が「65歳まで」に延長!
※国民年金第1号被保険者<自営業者等>や第3号被保険者<専業主婦(夫)等>は、60歳以降は国民年金被保険者ではなくなるので国民年金に任意加入しなければなりません。
<2022年10月>
★企業型DCの加入者が、労使合意の規約がなくてもiDeCoに加入できるようになる!
※マッチング拠出(会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出すること)をしている場合、iDeCoに加入することはできません。
ちなみに2024年12月にも改正が予定されています。
(リンク先をご参照ください:2020年の制度改正|厚生労働省 )
多くの方が気にされていないかもしれない【iDeCoの受け取り方】についても、少しご案内します。
知って得する!iDeCoの受け取り方
●年金受取の場合
年金受取の場合、受け取った金額は雑所得となり、公的年金控除の対象となります。
【雑所得=年金の収入金額-公的年金控除】
(※詳細は下記URLをご参照ください)
No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁 (nta.go.jp)
●一時金受取の場合
一時金で受け取る場合は、退職所得に該当します。
下の場合を例に考えてみましょう。
<例>
30歳入社 60歳退職(30年勤務) 退職一時金:1,500万円
iDeCo(35歳~60歳 掛金拠出期間25年)一時金500万円
(※復興特別所得税、住民税均等割額は考慮しない)
*退職所得控除額の計算方法
・勤続年数が20年以下→ 40万円×勤続年数(ただし、80万円に満たない場合は80万円)
・勤続年数が20年超 → 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
*退職所得金額の計算方法
・(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2
受取の例として、3つのパターンを紹介します。
①60歳時に退職一時金とiDeCo一時金を受け取る場合
退職所得控除額=800万円+70万円×10年=1,500万円
(1,500万円<退職一時金>+500万円<iDeCo一時金>-1,500万円<退職所得控除>)×1/2=退職所得金額250万円
所得税:152,500円 住民税:250,000円 税額合計:402,500円
②60歳時に退職一時金を受け取り61歳時にiDeCo一時金を受け取る場合
(1,500万円<退職一時金>-1,500万円<退職所得控除>)×1/2=退職所得金額0万円
所得税:0万円 住民税:0万円
500万円<iDeCo一時金>-80万円<退職所得控除最低額>=420万円
2022年度より退職所得は300万円までが1/2で計算
~参照:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)~
よって
(420万円-300万円)+300万円×1/2=退職所得金額270万円
所得税:172,500円 住民税:270,000円 税額合計:442,500円
③60歳時に退職一時金を受け取り75歳時にiDeCo一時金を受け取る場合
(1,500万円<退職一時金>-1,500万円<退職所得控除>)×1/2=退職所得金額0万円
所得税:0万円 住民税:0万円
500万円<iDeCo一時金>-1,150万円<※退職所得控除>×1/2=退職所得金額0万円
※退職一時金の受け取りから15年経過しているため退職所得控除の調整はなされない
退職所得金額=40万円×20年+70万円×5年=1,150万円
所得税:0万円 住民税:0万円 税額合計:0万円
以上のように、iDeCoの出口戦略によって手取り金額が変わってきます。
退職金の目安や年金額などを考慮して、対策をする必要がありそうですね。
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