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【お盆は海や川に入ってはいけないの?】

皆様は、『お盆の時期に海や川に入ってはいけない』(諸説あり)と言われたことはないでしょうか。
直接言われたことはなくてもテレビやインターネットで見聞きしたり、またご家族や知人にそのように言ったりしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、せっかくのお盆休暇を安全に過ごせるよう、なぜお盆の時期に海や川に入ってはいけないと言われるようになったのか、その論説が広く日本に浸透した理由をお話しようと思います。

まず、この論説には大きく二つの理由があるとされています。
一つは”宗教的”な理由。
もう一つは”気象的”な理由です。

◇◆ 1.宗教的な理由 ◆◇

『お盆』という行事は日本古来より行われていた「ご先祖様への信仰」と、インドで発祥し、中国・朝鮮半島を経て伝来した「仏教」が合わさり生まれたと言われています。
「仏教」においては、基本的に動物や魚、虫を含め殺生が禁止されています。
そのことから、お盆に釣りや虫取りをすることは殺生に繋がるため避けられていたようです。
また今では『お盆』といえば8月15日ですが、旧盆の頃である7月16日には「閻魔賽日(えんまさいじつ)」という閻魔様も鬼も亡者もお休みの日があります。この頃に地獄の釜の蓋も開き、あの世の霊がこの世に集まってくるとされているため、海や川に入るとあの世に連れていかれるとも言われたようです。
幼い頃、このようにおどかされた方も多いのではないでしょうか?
(私はまさにありました!笑)

日本には古来より『自然信仰』というものがあり、山や海、川などの自然を大切にしてきました。
「お盆というご先祖様の霊が集まる時期に、神聖な海や川を汚す行いを禁じるため」
との説、そして
「そもそもご先祖様の霊が帰ってくるのだから、外で遊んでないで家で家族とおもてなししましょう」
という説もあるようです。
これら以外にもいろいろな説はありますが、長い歴史の中で多くの人々に広まり、各々に解釈されながら今に至っているということの裏返しでもあります。
地方によっても特徴があるようなので、気になった方はぜひ調べてみてください。

◇◆ 2.気象的な理由 ◆◇

そうはいっても私は仏教徒でもないし、あの世や霊なんて信じていない、という方もいらっしゃると思います。
しかし宗教や思想以外でも、お盆時期の海や川には入らない方がよいと思える、より直接的な危険が潜んでいるのでいくつかご紹介します。

*『台風』
台風が近づいているときに、海や川に入ろうなんて方はもちろんいらっしゃらないでしょう。
しかし台風は、日本から遠い海上にあったとしても、その影響が日本にも及ぶ場合があります。

*『土用波』
土用波とは夏の土用の時期によくある大波のことで、風がなくても海岸に断続的に打ち寄せる波の現象をいいます。
日本から遠い太平洋上の波が、台風に巻き込まれて勢力を増しながら日本沿岸に到達するので、海辺は晴れていて風もないのに思いもよらぬ高波に襲われることがあるそうです。

*『クラゲ』
土用波は遠くの海から『クラゲ』をつれてくるので、クラゲに刺される危険性が高まります。
また、お盆頃の海水温がクラゲにとって適温なこと、時を同じくして黒潮に乗って北上してくるクラゲが合流することもあり、大量発生したかのようにクラゲが増え、当然に被害が増加します。

*『離岸流』
『離岸流』とは、波打ち際から沖へ向かう流れのことで、流れもかなり速く巻き込まれるとあっという間に沖へと流されてしまいます。
離岸流が発生しやすい場所として、
・海岸が外洋に面していているところ
・遠浅で海岸線が長いところ
・近くに人口構造物があるところ などがあげられます。
(参考:第9管区海上保安本部海洋情報部『離岸流トップ』

*『川の個性』
川において最も注意するべきは突発的な増水です。
上流で局地的な雨が降ったり、ダムがある川では放水のサイレンに気づかずそのまま川に入っていたりすると、急激な増水で流されてしまう危険性があります。
そもそも川は自然に任されているものがほとんどで、人が安全に遊べるように整備されているものではありません。
急に深くなっていたり、不規則な流れがあったり、表面は穏やかな流れに見えても底の方は流れが速かったりと、川にはそれぞれ個性があります。その個性を知らずに、学校や仕事が休みだからと不慣れな川に入る人が増えることも、お盆に痛ましい水難事故が増える要因の一つかもしれません。
・どれだけ浅く見えても、ライフジャケットを着用する
・そもそも川には入らない
など、自分や家族の命を守る備えが必要です。

~ 終わりに ~ 

近年、『異常気象』という言葉を見聞きすることが増えました。
猛暑豪雨台風地震等々、私たちは多くの自然災害リスクを抱えながら生活しています。
その多くは不可抗力的なものではありますが、自然を知る、ひいてはそこに潜在するリスクを知ることで、【減災・防災】できることもあるかもしれません。

どれだけ気をつけていたとしても万が一のことがあった場合、大切なご家族の命までは戻りません。
水難事故には十分注意して、ぜひ楽しいお盆休みをお過ごしください。

また、遠方のご家族が帰省されるという方も多いと思います。
久しぶりの家族団欒の機会ではありますが、その中で少しでもご家族で加入している保険の共有や見直しをされてみてはいかがでしょう。
『お父さん・お母さん、保険掛けてたの?!』
というような保険金の請求漏れを防げたり、よりよい保険の形が見つかったりするかもしれません。

また、過去のコラムでは水害の記憶について弊社従業員の体験談をお伝えしております。
よろしければ、ぜひそちらも併せてご覧ください。
少しでも皆様の防災意識にお役立ていただけますと幸いです。
~災害に備える~【8・6水害】の記憶~

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