知らない間にハラスメントの加害者・被害者になっていませんか?
近年、耳にすることが多くなった【ハラスメント】という言葉。
○○ハラと略されることが多いハラスメントですが、語源は「苦しめること・悩ませること」を意味する英単語(harassment)です。
今回は、職場で起こりうる様々なハラスメントについて一緒に考えてみましょう。
職場で起こる様々なハラスメント
会社の規模や業種・雇用形態等に関わらず、職場においては様々なハラスメントが起こる可能性があります。
【セクハラ】や【パワハラ】という言葉については、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)にみられる「相手の意に反する性的な言動」は、男性から女性に対して行うイメージが強いと思います。
しかしハラスメントに対する意識の高まりとともに、女性から男性へ、または同性同士で行われるケースについての報告も増えてきています。
パワーハラスメント(パワハラ)は、身体への攻撃のほか、暴言や侮辱等の個人の名誉を棄損する発言、仕事における過小・過大な要求、仲間外れや無視、必要以上に個人のプライバシーに踏み込むなど、様々なケースがあります。
厚生労働省の委託機関の「あかるい職場応援団」のホームページ(リンク:「あかるい職場応援団」)に、職場における様々なハラスメントのうち3つのハラスメントについて説明がありました。
パワーハラスメントの定義
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの。
セクシャルハラスメントの定義
「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすること。
妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの定義
「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されること。
マタニティハラスメント(マタハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)、ケアハラスメント(ケアハラ)と言われることもあります。
~以上(リンク:「あかるい職場応援団」)より引用~
上記以外にも様々なハラスメントがありますが、何故このようなハラスメントが起こるのでしょうか。
ハラスメントは何故起こるのか
ハラスメントは、【無自覚・無意識・無知】が原因で起こることが多いように感じます。
その中には「男のくせに泣くな」「女の子なんだからおしとやかにしなさい」というような男女の特性への期待や「男性が働いて女性は支えるもの」「女性は男性に従うべき」というような男女の役割に対する考え方のようなジェンダーの過度な押し付けや、権威主義、排他的思考、立場の違いや年齢などを理由に起こるものもあります。
職場でのやり取りの中で不快な思いをしたり、尊厳を傷つけられたと感じたりしたのならば、それはハラスメントになります。
もしかしたら、こう思っている人がいるかもしれません。
「昔は同じことを言ってもセクハラだパワハラだなんて言われなかったのに、ほんと嫌な時代だよ」
「このくらいのことで目くじらを立てなくてもいいじゃないの、ねぇ?」
しかし、言動について意図しているかしていないか、悪気があるかないかに関わらず、受け手の感じ方によってはハラスメントになってしまうということなのです。
自分自身の言動を振返ってみたときに、「あの時のあれって・・・?」と思う部分はありませんか?
誰もがハラスメントの加害者や被害者になりうることを忘れないようにしないといけませんね。
世間的にもハラスメントに対する意識は高まっています。
2020年6月にいわゆる「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」施行され、また「男女雇用機会均等法」や「育児・介護休業法」が改正されたことで、事業者に対してハラスメント防止対策の義務付け等がなされました。
では、どうすればハラスメントを回避・解決できるのでしょうか。
ハラスメントの回避・解決方法
前述した【無自覚・無意識・無知】が原因で起こるハラスメントについては、職場内で勉強会を開催したり、研修の機会を設けたりすることが有効です。
厚生労働省の委託機関の「あかるい職場応援団」のホームページにも、ハラスメントを動画で学べるコンテンツがありました。(リンク:動画で学ぶハラスメント)
ハラスメントに対する知識を深めるとともに、それぞれが違う価値観を持っていることを受け入れ、なぜそう考えるのかを相手の立場になって理解しようと努めることが必要になってくるのではないでしょうか。
もちろんハラスメントのない職場作りは大切です。
しかし一番重要だと思うことは、ハラスメントをしてしまった場合の対応です。
普段から気を付けてはいても、何気なく発した一言がハラスメントであると捉えられてしまう場合もあります。
万が一相手に不快な思いをさせてしまったときは、相手の立場や年齢・性別に関係なく、素直に謝ることが大事なのではないでしょうか。
もし会社を経営しているのであれば、社内で起こったハラスメント行為に対する労務管理の責任を問われる可能性があります。
まさか自分の会社でそんなことが起こるはずはない、と思っていませんか?
法律の制定により、ハラスメントを受けた側が被害の主張をしやすくなったとともに、事業主は管理責任を問われやすくなったといえます。
万が一、損害賠償請求や地位確認請求を起こされてしまったら・・・?
事業者向けの保険の中には、労務管理のリスクによって損害賠償を請求された場合に備える保険もございます。
新しい時代に合わせた補償について、私たちエール保険と一緒に考えてみませんか?